ウインドサーフィンとは

 ウインドサーフィンは1967年、ホイル・シュワイツアーとジム・ドレイクの二人の手によって、アメリカ・カリフォルニアで誕生しました。シュワイツァー氏は元々はサーファーでコンピューターのソフトウェア会社の副社長。当時、彼の家には週末にもなるとサーファーやヨットマンが集まり、パーティーが開かれてました。そんな仲間の中に、ヨットマンで超音速機の設計家ジム・ドレイク氏(Jim Drake)と出会います。この二人の出会いがウインドサーフィンの発想を生み出したのです。
 開発にあたり、最大の問題は舵をどう取り付けて操縦するか?でした。ヨットをよく知っているドレイク氏は、舵がなくてもある程度ならセイルを調整するだけで舵をとれる、という事をヒントにして、マストを動かすことでボードを操縦する事を思いつきました。
 そこで考案されたのが、「ユニバーサル・ジョイント」です。これと弓状になったブーム(ハンドル部)でマスト(長いポール)を動かすことでセイリングを可能にしたのです。このようにして、ヨットでの常識であった『マストはボードに垂直に立つもの』という既成概念を打ちこわされました。ここで二人の非凡さが見て取れます。
 それは大きなサーフボードのようなものにセイルを取り付けたものでした。セイルとボードをつなぐジョイントが360度自由に動く点と、セイルについたブームを自分の手で握って操作する点。一見小さなこの二つの相違点が、ウインドサーフィンをウインドサーフィンたるものにしたのです。
 最初は360cm以上の長いボードが主流で、弱い風の中をのんびりと走り、競技もヨットレースのような形態が盛んでしたが、強風と波を利用し、高くジャンプしたり、波をサーフィンしたりする「ウエイブセイリング」など様々な楽しみ方のスタイルが生まれ、このスポーツは全世界にアッという間に広がりました。
 1984年にはヨット競技の一つとして、オリンピックの正式種目にもなりました。その後、ボードはどんどん短くなり、現在は250~300cmの長さが主流で、水面上を浮きあがるように疾走する“プレーニング”と呼ばれるセイリングが中心となっています。ウインドサーフィンの魅力は風と腕前さえあれば不可能なことはないといえるほどの、その運動性能の高さにあります。
 例えば、現在のウインドサーフィンにおけるスピード世界記録の90キロといえばモーターボートに匹敵する速度です。また、高さ15m~20mというなビッグウエイブの中をサーフィングし、10mを越えるハイジャンプはもちろん、空中で2回転という大技まで出現するようになりました。これほどの水面上の運動性能を人間はこれまで手に入れたことはありません。又、そこまでハイレベルでなくても、普通の人にもその魅力は十分に堪能できます。
 さらに弱い風でのんびり楽しむ事やロングクルージング、二人乗りなど、老若男女、子供、個人でも家族でも幅広い人達が楽しめることもこのスポーツの大きな魅力でしょう。現在、ヨーロッパでは冬のスキーと同様のファミリースポーツとして、気軽に愛好され、アメリカやオーストラリアでも、ウインドサーフィンのセイルを見かけないビーチがないほど普及しています。
 日本には、1969年に上陸し、体験人口100万人、愛好者は50万人といわれております。愛好者の平均年齢は男女とも20代後半から30代が中心ですが、40、50代の愛好者も非常に多く、「50代でウインドサーフィンに出会って、60代で現役。」という人もめずらしくありません。サーフィン、ボディボードなどに比べると大人のマリンスポーツともいえ、また生涯スポーツとしても見直されてきております。

ウインドサーフィンとは

楽しさ

ウインドサーフィンの楽しさ

 ウインドサーフィンの最大の楽しさは「大自然の素晴しさ、海の天然の恵みをダイレクトに感じることができる」ということです。人工の動力を全く使わずに、二本の腕に風を感じながら滑るように海を走るウインドサーフィンは、ごくあたりまえに自然の素晴しさを理解させてくれます。
 また、気紛れな風を辛抱強く待つとき、荒れる海の前で恐れをなすとき、人は人間の力ではどうにもならない自然の偉大さを知らされます。昨今、「ナチュラル」「エコロジー」「癒し」などが、現代人のストレスを解くキーワードとしてさかんに叫ばれておりますが、ウインドサーフィンこそこのキーワードを完全に満たすものであります。

ウインドサーフィン・イベントシーン

 様々なレベルで楽しまれるウインドサーフィンですが、レースシーンは以下の三つのレベルに大別できます。
まず、ワールドレベルのレース、これは静岡県御前崎で約10年間、開催された「サムタイムワールドカップ」が有名です。次に、日本のトップレベルの大会、私どもが開催する「JPWA JAPAN TOUR」がこの代表格です。最後に、種々の草レース、ごく小さなものから大々的なイベントとして開催されるものまで、その数は300をくだりません。また、ウインドサーフィンには様々な種目がありますが、「JPWA JAPAN TOUR」で行われるのは、ウェイブパフォーマンスとフリースタイル、スラローム、アップウインドの4種目です。

ウェイブパフォーマンス

ウェイブパフォーマンス

 サーフィンのコンテストと同様に、ビーチ間際肉眼で見える範囲に演技海面を設定します。競技者は、1対1で規定時間内にジャンプやライディングの演技を見せ、これをジャッジが判定します。20m近いジャンプや空中で回転するエアリアルループなど大胆な技が次々と編み出される華やかな競技です。ここ数年はジャンプ系の大技が次々と繰り出され、空中での華々しいバトルが見物でした。競技は肉眼で見える範囲で行われますから、迫力ある演技を生でお楽しみください。世界的にも一番注目を浴びる種目ですが、十分な波と風の両方が必要となり、開催場所が多少限定されます。しかし、映像的にもウインドサーフィンを象徴する競技で世界的なスーパースターやレジェンドもウエイブ競技を主流としています。

フリースタイル

フリースタイル

 競技方法はウエイブ競技と同じですが、波がなくても開催でき、よりトリックを中心に競うのがフリースタイル競技です。ヨーロッパや中米カリブ海非常に盛んな競技です。波が小さい場合などにも開催でき、より過激な技の応酬となるフリースタイル競技は現在とても注目されております。JPWAでも数年前から大会を開催し日本でも徐々に増えつつあります。現在はフリースタイル競技とウエイブ競技が世界的なトレンドとなっており、特にフリースタイルは世界的に若手登竜門となっていて近年この競技からスーパールーキーが出現し、世界チャンピオンまでなることが多いです。

フォーミュラウインドサーフィン(アップウインド・コースレース)

フォーミュラウインドサーフィン(アップウインド・コースレース)

 ヨットレースと基本的には同じ競技です。競技者は、レース海面の風下から風上へ一斉にスタートし、ブイによってマーキングされた規定のコースを走り、スピードを競います。風向を読んで走る競技者の技術や戦術など、総合的な力量が問われます。オリンピックはヨット種目のRS-X級として北京オリンピックから新艇種として開催されます。

スラロームレース

スラロームレース

 モトクロスのイメージで、風上から風下へ設定されるショートコースで行われます。競技者は、8~20名のグループに分けられ、トーナメント方式で勝ち上がっていきます。一般に強風下で行われ荒馬のようなボードをコントロールする能力が問われます。ジャイブというコーナーを回る技がとても重要で、接戦でのマーキングバトルはとてもエキサイティングです。ウインドサーフィン競技のなかでも非常にスピード感にあふれた競技で順位などもわかりやすいです。近年ヨーロッパを中心に再び盛り上がりを見せています。
 日本ではゲレンデコンディションが一番あっており、多くの愛好者が存在し、各地で競技会なども多く行われています。